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Warrant

Warrant(進行根拠) とは、ある候補を採用し、その結果に後続が依拠してよいと言える根拠の束です。

進行根拠は単なるテスト結果ではありません。証拠、権限、範囲、リスク、復旧可能性、責任、投影先、鮮度に加えて、なぜその候補がよりよいのかという採用理由を含みます。

進行根拠の構成要素は、性質の違う二種類に分かれます。

テスト結果、静的解析、ビルド結果、影響範囲の観測。これらは観測であり、原理的には後から再導出できます。検証が安くなるほど、記録としての価値は下がります。

誰が権限を持っていたか、誰が残るリスクを受容したか、何を意図したか。これらは観測ではなく 遂行的行為 です。どれだけ検証が安くなっても再導出できません。記録だけが根拠です。

「オーナーが 7 月 5 日にこのリスクを受容した」は、どんな AI にも再計算できない。

したがって、進行根拠の恒久的な核は規範条件にあります。評価に通ったことだけでは進行根拠にならないのは、このためです。テストが通っていても、範囲外の変更がないこと、権限があること、残るリスクが受容されていること、巻き戻し経路があること、反映先が定義されていること、証拠が古くなっていないことが欠けていれば、進行根拠は不足します。

進行根拠は、ひとつのアクターの出力だけで成立するとは限りません。PCE 3.0 では、Distributed Warrant Formation(分散的な進行根拠形成)を基本形として扱います。

AI が複数の候補差分を作り、CI がテスト証拠を作り、人間が意図、好み、リスク受容を形成し、Policy(ポリシー)が禁止範囲を示し、状態面が後続に残す投影を保持します。

candidate comparison
+ evidence(証拠条件)
+ authority / risk acceptance(規範条件)
+ policy fit
+ projection target
-> Warrant

進行根拠がない出力は、正規状態ではなく候補です。

Warrant by Precedent(先例による根拠)

Section titled “Warrant by Precedent(先例による根拠)”

進行根拠は、毎回ゼロから作るものではありません。

Precedent(先例) とは、過去に形成され、正規状態に残っている進行根拠のうち、後続の進行根拠が引用できるものです。

日常的な遷移は、先例の引用によって軽い根拠で進みます。新規性の高い遷移だけが新しい根拠形成を必要とし、その結果が次の先例になります。統治のコストが官僚化しないのは、この引用構造があるからです。

  • 引用(citation): この遷移は先例と同型であり、同じ根拠が適用される。
  • 区別(distinguishing): この遷移は先例と次の点で異なるため、追加の根拠が必要である。
  • 変更(overruling): 先例自体を無効化する。無効化は依拠グラフに沿って、先例を引用していた根拠へ伝播する。

進行根拠の判定は、単純な可否だけではありません。

  • warranted(根拠あり): 必要条件を満たし、依拠してよい。
  • conditional(条件つき): 条件を満たせば進めてよい。
  • insufficient evidence(証拠不足): 証拠が不足している。
  • rejected(却下): 進めてはいけない。
  • escalate(上位判断): 現在の権限では判断できない。
  • evidence: 証拠(証拠条件)
  • candidate quality and selection rationale: 候補の質と採用理由
  • precedent citations: 先例の引用と区別
  • authority: 権限と、その由来(誰の委任か)
  • scope fit: 範囲との適合
  • risk and severity: リスクと深刻度、誰が受容したか(規範条件)
  • rollback or recovery path: 戻し方または復旧経路
  • accountability: 責任の引受
  • projection target: 投影先
  • unknown handling: 不明点の扱い
  • expected reliers: 想定される依拠者(依拠グラフの初期辺)
  • freshness: 鮮度と無効化条件

進行根拠の重さは一律ではありません。Target(対象)、Severity(深刻度)、Pace(速度)の三軸で較正します。三軸はいずれも依拠のパラメータです。詳しくは Warrant Calibration を参照してください。

  • 正規状態を変える遷移には進行根拠が必要である。
  • 進行根拠は証拠条件と規範条件を分離する。
  • 候補比較が必要な遷移では、採用理由と不採用理由を残す。
  • 深刻度の高い遷移には、より強い証拠と責任の引受が必要である。
  • 速く進める遷移でも、後から検査可能な記録を残す。
  • 不明点を許容して進める場合は、その理由と残るリスクを示す。
  • 進行根拠は鮮度と無効化条件を持ち、無効化は依拠グラフに沿って伝播する。
  • 進行根拠が不足したら、完了ではなく Obstruction(阻害要因)とする。