Glossary
このページは PCE 3.0 の用語の早引きです。 正規定義は
Spec / Core Modelを優先します。
用語表記の方針
Section titled “用語表記の方針”PCE 3.0 では、正式名、見出し、スキーマキーには English technical terms を使います。
一方で、本文の説明では日本語で意味が追えることを優先します。初出では English(日本語) と併記し、その後の本文では原則として日本語の語を使います。
例: Reliance(依拠)、Responsible Continuation(責任ある継続)、Transition Contract(状態遷移契約)
英語の概念語に日本語の助詞だけを付けて文を作る書き方は避けます。本文では、たとえば アクターが状態を変える遷移 のように日本語で意味が通る形にします。
Verification Horizon
Section titled “Verification Horizon”Verification Horizon(検証地平)とは、PCE 3.0 の公理です。仕事は、いかなる単独アクターの検証地平をも越えて継続し、後続アクターは先行するすべてを再検証できません。 See: Reliance
Reliance
Section titled “Reliance”Reliance(依拠)とは、アクターが、目的のために、投影を再検証せずに自らの遷移の前提とすることです。検証地平の公理から定理として導かれます。依拠は五つ組(誰が、何に、何のために、どの根拠で、いつまで)で特定されます。 See: Reliance
Reliance Graph
Section titled “Reliance Graph”Reliance Graph(依拠グラフ)とは、依拠を辺として記録したグラフです。根拠が失効したとき、依拠していた後続作業へ無効化を伝播するために必要になります。 See: Reliance
Invalidation Propagation
Section titled “Invalidation Propagation”Invalidation Propagation(無効化の伝播)とは、進行根拠の無効化条件が成立したとき、依拠グラフに沿って影響を後続作業へ伝えることです。 See: Reliance
Trust vs Reliance
Section titled “Trust vs Reliance”Trust(信頼)は態度であり、範囲を持たず、裏切りに開かれています。Reliance(依拠)は行為であり、目的に相対的で、範囲づけられ、撤回できます。PCE 3.0 の機能は、態度としての信頼を、根拠づけられた依拠へ変換することです。 See: 問題設定
Consult / Rely
Section titled “Consult / Rely”Consult(参照)とは、読む、検討する、比較の材料にすることで、どの記録に対しても自由です。Rely(依拠)とは、再検証なしに遷移の前提として使うことで、根拠を要します。検索できることは、依拠してよいことではありません。 See: Reliance, Context Pool
Context Pool
Section titled “Context Pool”Context Pool(コンテキストプール)とは、状態面の総体として記録された投影の基質です。正規(依拠可・昇格に Warrant 必須)、暫定(候補と仮説)、生(ログと未構造の記録)の三層を持ちます。記録は自由で、門は正規層の手前だけにあります。PCE 1.0 の潜在的コンテキストプールの後継です。 See: Context Pool, PCE の系譜
Compile
Section titled “Compile”Compile(断面の編成)とは、特定のアクターと遷移のために、Context Pool から断面を切り出すことです。選び、編集し、順序づけ、欠落を埋め、矛盾を潰し、各項目に層と依拠可否を付します。PCE 1.0 のアクティブコンテキストの後継で、状況パッケージの統治下に置かれます。 See: Context Pool, Actor-local Situation Package
Capture
Section titled “Capture”Capture(記録)とは、遷移の結果を Context Pool へ書き戻すことです。門はありません。記録することは昇格ではないため、差分、観測、失敗、不採用候補まで自由に記録できます。 See: Context Pool
Compact
Section titled “Compact”Compact(圧縮)とは、複数の記録を要約・統合して置き換えることです。由来と留保を落とすため、最も危険な動詞です。圧縮の出力が依拠されるなら、その圧縮は正規変更であり Warrant を要します。門のない圧縮の連鎖が要約ロンダリングです。 See: Context Pool, One Memory through PCE
Reach(リーチ)とは、プールの項目が将来の断面に既定で入るかどうかの軸です。pull(参照されるまで眠る)と push(既定で注入される)に分かれ、正規性とは直交します。面のリーチが要求される層を決め、高リーチ面には正規層の項目しか置いてはなりません。汚染とは、正規性なきリーチです。 See: Context Pool, One Memory through PCE
Memory
Section titled “Memory”Memory(記憶)とは、Context Pool のうち高リーチの領域です。将来の断面に既定で注入されるため、書き込みは明示許可を要し(memory_write: false が既定)、昇格は遅い Pace で扱い、置ける項目は正規層に限られます。記憶は定数の保管ではなく関数の保管であり、想起は適用として、適用域を想起時に判定します。
See: One Memory through PCE, Context Pool
Applicability
Section titled “Applicability”Applicability(適用域)とは、投影——特に記憶——が依拠に耐えると宣言された文脈の範囲です。書き込み時の Warrant は適用域の内側までしか保証できないため、想起のたびに現在の文脈が適用域の内側かを判定します。内側なら引用として依拠でき、外側または不明なら参照のみに降格します。 See: One Memory through PCE, Warrant
PCE 3.0
Section titled “PCE 3.0”PCE 3.0 は Praxis Continuation Engine です。検証地平を越えて継続する仕事に不可避に生じる依拠を統治し、候補から正規状態への昇格を Responsible Continuation(責任ある継続)として成立させる体系です。 See: PCE 3.0 とは何か
Praxis
Section titled “Praxis”Praxis(実践)とは、アクターが状態を変え、後続がその結果に依拠する営み全体です。開発作業に限らず、判断、承認、調査、記録、制度運用、AI への委譲を含みます。 See: Core Model
Actor(アクター)とは、状態を観測し、判断し、遷移に関与し、投影を残し、他の投影に依拠しうる主体です。人間、AI、ツール、CI、制度、運用手順がアクターになりえます。依拠は対称ですが、責任は非対称です。 See: Actor
Multi-Actor Continuation Control
Section titled “Multi-Actor Continuation Control”Multi-Actor Continuation Control(マルチアクター継続制御)とは、AI、人間、CI、Policy(ポリシー)、評価系、状態面が関わる候補、証拠、判断を合流させ、後続が依拠してよい責任ある継続にする制御です。 See: Multi-Actor Continuation
Responsible Continuation
Section titled “Responsible Continuation”Responsible Continuation(責任ある継続)とは、後続アクターの正当な依拠を損なわず、依拠可能な状態をより豊かにする遷移です。契約に従い、十分な進行根拠を持ち、依拠してよい範囲を明示した投影を残します。 See: Responsible Continuation
Core Model
Section titled “Core Model”State(状態)とは、アクターが依拠し、遷移によって変化しうる現在の成り立ちです。コード、仕様、判断、記録、権限、未確定事項を含みます。 See: State
Canonical State
Section titled “Canonical State”Canonical State(正規状態)とは、後続アクターが再検証なしに依拠してよい状態です。AI の出力、レビューコメント、要約、テスト結果は、候補として比較し、進行根拠を揃えてから正規状態へ昇格させます。 See: State
Transition
Section titled “Transition”Transition(遷移)とは、ある状態を別の状態へ移す候補または実行です。実装、レビュー、承認、調査、候補比較、記憶昇格、ロールバック、停止、再開を含みます。正規状態を変える遷移は、後続の依拠を変えます。 See: Transition
Contract
Section titled “Contract”Contract(契約)とは、遷移の許可範囲です。依頼側が「この範囲は変わらない」と依拠できる境界を先に作り、実行側の生成を解放します。 See: Contract
Warrant
Section titled “Warrant”Warrant(進行根拠)とは、候補を採用し、その結果に後続が依拠してよいと言える根拠の束です。証拠条件(再導出可能)と規範条件(再導出不可能)を分けて扱います。 See: Warrant
Evidence Conditions / Normative Conditions
Section titled “Evidence Conditions / Normative Conditions”Evidence Conditions(証拠条件)とは、進行根拠のうち再導出可能な観測です。テスト結果、静的解析など。Normative Conditions(規範条件)とは、再導出不可能な遂行的行為の記録です。権限、リスク受容、意図など。進行根拠の恒久的な核は規範条件にあります。 See: Warrant
Distributed Warrant Formation
Section titled “Distributed Warrant Formation”Distributed Warrant Formation(分散的な進行根拠形成)とは、複数アクターが作る候補、証拠、権限、リスク受容、投影先を合流させて、候補を昇格させてよい根拠を作ることです。 See: Warrant, Multi-Actor Continuation
Precedent
Section titled “Precedent”Precedent(先例)とは、過去に形成され正規状態に残っている進行根拠のうち、後続の進行根拠が引用できるものです。日常的な遷移は先例の引用で軽く進み、新規性の高い遷移だけが新しい根拠形成を必要とします。 See: Warrant
Projection
Section titled “Projection”Projection(投影)とは、遷移の結果のうち、依拠してよい範囲を明示して残す状態です。投影は、作り手による Commitment(依拠可能性の表明)という遂行的行為でもあります。 See: Projection
Commitment
Section titled “Commitment”Commitment(依拠可能性の表明)とは、何かを正規投影として残すことで「これは後続の依拠に耐える」と表明する遂行的行為です。依拠と表明は同じ規範の両面です。 See: Projection
State / Projection Surface
Section titled “State / Projection Surface”State / Projection Surface(状態面 / 投影面)とは、状態や投影を保持し、後続アクターが参照する面です。Issue、PR、Slack thread、ADR、memory store などが該当します。自動判定や権限行使を持つ場合は、その機能にアクター性があります。 See: Actor
Candidate
Section titled “Candidate”Candidate(候補)とは、次の状態へ進めるかもしれないが、まだ誰も依拠してはいけない出力や判断です。AI の差分、人間のコメント、CI の結果、記憶へ残す要約は、まず比較し、磨き、組み合わせるための素材として扱います。生成は無料なので、候補は恐れず作ります。 See: PCE in 5 minutes, 継続候補
Transition Contract
Section titled “Transition Contract”Transition Contract(状態遷移契約)とは、契約を実務で記録する形式です。現在状態、望ましい状態、許可操作、禁止操作、不変条件、証跡、不明点の扱い、停止条件を束ねます。 See: 記録形式: Transition Contract
Unknown
Section titled “Unknown”Unknown(不明点)とは、状態そのものと、アクターが扱っている投影との間にある差分です。依拠が必要なのに正当な根拠がまだない、依拠の空隙とも言えます。実装前に分かる未決事項だけでなく、実装中に見つかる制約、暗黙の好み、検討していなかった選択肢も含みます。 See: State, Projection
Obstruction
Section titled “Obstruction”Obstruction(阻害要因)とは、契約違反、進行根拠の不足、不変条件の破壊、未確定事項の事実化などにより、遷移をそのまま進められない理由です。止まることは失敗ではなく、後続に不当な依拠を積ませないための制御です。 See: AI Instructions as Transition Contracts
Completion Candidate
Section titled “Completion Candidate”Completion Candidate(完了候補)とは、完了とみなせそうだが、まだ採用済み事実や正規状態にしていない候補です。 See: AI Instructions as Transition Contracts
Actor-local Situation Package
Section titled “Actor-local Situation Package”Actor-local Situation Package(アクター別状況パッケージ)とは、特定のアクターが遷移に参加するために必要な状態、許可操作、禁止操作、証跡、停止条件を束ねたものです。 See: Actor-local Situation Package
Accountability Anchor
Section titled “Accountability Anchor”Accountability Anchor(最終引受点)とは、影響の大きい遷移で、後続の正当な依拠が裏切られたときに最終的に支払うアクターまたは制度です。契約と権限の由来をたどる統治の連鎖は、この主権点で底を打ちます。 See: 最終引受点
Warrant Calibration
Section titled “Warrant Calibration”進行根拠の重さを較正する三軸です。いずれも依拠のパラメータです。
Target
Section titled “Target”Target(対象)とは、遷移が誰の依拠に影響するかです。下書き、局所実装、公開仕様、正規状態、権限、顧客影響、組織判断では進行根拠の重さが変わります。 See: Warrant Calibration
Severity
Section titled “Severity”Severity(深刻度)とは、依拠が裏切られたときの損失の大きさです。戻しやすさ、影響範囲、信頼、責任、正規状態への影響を見ます。 See: Warrant Calibration
Pace(速度)とは、依拠の地平です。後続の依拠がどれだけ速く積み上がり、無効化の伝播がどれだけ困難になるかで、遷移を動かすべき時間幅が決まります。深刻度が高くても速く動くべき場合があり、深刻度が中程度でも遅く扱うべき場合があります。 See: Warrant Calibration