PCE 3.0
AI は候補を無限に作れるようになりました。 希少になったのは、次のアクターが再検証なしに積み上げてよいものを知ることです。 PCE 3.0 は、昇格を統治することで、生成を恐れなく解き放つためのモデルです。
PCE in 60 seconds
Section titled “PCE in 60 seconds”AI は、コード、Issue、PR、ドキュメント、判断、記憶を高速に作れるようになりました。生成はほぼ無料になり、候補は溢れています。
一方で、仕事は一人のアクターでは終わりません。次の開発者、次の AI、次の CI、明日の自分が、今日の成果の上に作業を積み上げます。そして後続アクターは、先行するすべてを再検証できません。
つまり後続は、必ず何かに Reliance(依拠) します。再検証なしに、前提として使うということです。
PCE 3.0 が問うのは一つです。
次のアクターは、これに依拠してよいか。依拠してよいものを Canonical State(正規状態)と呼び、候補をそこへ昇格させてよいと言える根拠を Warrant(進行根拠)と呼びます。
Rough Candidates(豊富・ほぼ無料) -> compare / warrant(昇格の統治) -> Canonical State(依拠してよいもの) -> Stronger Next Work(後続が複利で強くなる)一つの公理から始まる
Section titled “一つの公理から始まる”PCE 3.0 の体系は、一つの公理から導かれます。
検証地平(Verification Horizon): 仕事は、いかなる単独アクターの検証地平をも越えて継続する。後続アクターは、先行するすべてを再検証できない。
この公理から、定理が導かれます。
依拠の定理: 継続する仕事には、再検証なしの依拠が不可避に発生する。だから、何に依拠してよいかを統治する機構が必要になる。
Contract(契約)、Warrant(進行根拠)、Projection(投影)は、この定理に答えるための機構です。
なぜ「門」ではなく「解放」なのか
Section titled “なぜ「門」ではなく「解放」なのか”昇格の統治は、AI を縛るためのものではありません。
git はコードの書き方を何も教えませんでしたが、開発を爆発させました。実験を安全にし、統合だけを門で守ったからです。同じように、昇格境界が信頼できるからこそ、生成を野放しにできます。候補は何個でも、どれだけ粗くても構いません。正規状態に入る瞬間だけが統治されていればよいからです。
- Fearless Generation: 候補は無料である。失敗する候補も比較の材料になる。
- Governed Promotion: 正規状態を変えるには進行根拠が要る。
- Compounding Continuation: 採用理由も不採用理由も投影として残り、次の仕事の候補が最初から良くなる。
PCE が防ぐ失敗
Section titled “PCE が防ぐ失敗”次の失敗は、すべて 依拠の失敗 として読めます。
- AI が補完した仕様が、いつの間にか実装前提になる(根拠なき依拠の混入)。
- テストは通ったが、契約外の変更が混ざる(依拠してよい範囲の逸脱)。
- 人間が見たことが、リスクを引き受けたことにされる(依拠の種類の取り違え)。
- Slack や Issue の一言が、いつの間にか正式判断になる(根拠なき昇格)。
- AI の要約が、将来のメモリとして残ってしまう(依拠連鎖の汚染)。
- 承認が古い対象に紐づいたまま統合される(失効した根拠への依拠)。
PCE 3.0 は、これらを「AI の性能不足」としてではなく、依拠の統治の問題として扱います。
The Smallest Model
Section titled “The Smallest Model”最初に覚える語は三つで十分です。
| 語 | 意味 |
|---|---|
| Candidate(候補) | AI、人間、CI、ツールが出した、まだ依拠してはいけない素材 |
| Warrant(進行根拠) | その候補に依拠してよいと言える根拠の束 |
| Canonical State(正規状態) | 後続アクターが再検証なしに依拠してよい状態 |
この三語を PCE の正式語彙へ展開すると、Core Model になります。
State -> Transition -> Contract -> Warrant -> Projection -> Stateこの循環を満たす遷移が Responsible Continuation(責任ある継続)です。
Choose your entry point
Section titled “Choose your entry point”まず直感的に理解したい
Section titled “まず直感的に理解したい”「次のアクターは、これに依拠してよいか」という一つの問いから、PCE の最小形を掴みます。
AI 開発で明日から使いたい
Section titled “AI 開発で明日から使いたい”GitHub Issue から AI 実装、PR、merge までを一つの例で見ます。
AI の記憶を統治したい
Section titled “AI の記憶を統治したい”一つの記憶が昇格し、依拠され、無効化されるまでの一生を追います。
マルチエージェントとの違いを知りたい
Section titled “マルチエージェントとの違いを知りたい”PCE が複数 AI の分業ではなく、複数アクターによる継続制御であることを説明します。
正確な定義を確認したい
Section titled “正確な定義を確認したい”公理、依拠の定理、State、Transition、Contract、Warrant、Projection の正規定義を確認します。
Formal Definition
Section titled “Formal Definition”PCE 3.0 は Praxis Continuation Engine です。
正式には、PCE 3.0 とは、検証地平を越えて継続する仕事に不可避に生じる依拠を統治し、候補から正規状態への昇格を Responsible Continuation(責任ある継続)として成立させることで、生成を解放し、仕事を複利的に良くする体系 です。
そして PCE 3.0 の倫理は一文で言えます。
あなたは、後続アクターが正当に依拠するものに責任を負う。
最初からこの定義を覚える必要はありません。まずは、AI の出力は候補である。依拠してよいものだけを、根拠を揃えて正規状態へ昇格させる。 これだけを押さえれば十分です。