State
State(状態) とは、アクターが依拠し、遷移によって変化しうる現在の成り立ちです。
状態はコードや文書だけではありません。仕様、判断、責任、権限、未確定事項、運用制約、信頼、履歴、記憶も含みます。
このうち、後続アクターが再検証なしに依拠してよい部分を Canonical State(正規状態) と呼びます。よい正規状態とは、単に壊れていない状態ではなく、後続アクターが何に依拠してよく、何を疑うべきで、どの候補を再利用できるかを判断できる状態です。
- working state: 作業中の一時状態
- shared state: 複数のアクターが参照する状態
- canonical state: 後続アクターが再検証なしに依拠してよい正規状態
- uncertain state: まだ依拠してはいけない仮説や推測
- external state: 利用者、制度、市場、運用環境などにある状態
状態の種類は、Context Pool の層と対応します。canonical state はプールの正規層に、uncertain state は暫定層に住みます。working state は、capture される前のアクターの作業空間です。
PCE は状態を完全には保持できません。
PCE が扱えるのは、状態の一部をアクターが扱える形にした投影です。そのため、状態には常に欠落、遅延、誤写、未観測があります。
不明点とは、状態そのものと、アクターが扱っている投影との間にある差分です。言い換えれば、依拠の空隙——依拠が必要なのに、正当な根拠がまだない場所です。
不明点には、まだ調べていないことだけでなく、暗黙の前提、見れば判断できる好み、実装中に初めて現れる制約、そもそも検討していなかった選択肢も含まれます。
不明点が遷移判断に影響する場合、それは推測で埋めてはいけません。進行根拠に含められるか、Obstruction(阻害要因)として止めるか、Completion Candidate(完了候補)として残す必要があります。
- 状態は遷移の前後で明示される。
- 未確定の状態は候補として扱い、比較・検証なしに正規状態へ進めない。
- 状態と投影の差分は、必要に応じて不明点として明示する。
- 正規状態を変える遷移には進行根拠が必要である。
- 状態の投影は、現実そのものではなく扱える断面である。